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執筆者の写真伏見いきいき市民活動センター

【UTTOCOな人】樋口紫綾さん、おさとうざらめさん_vol.43

更新日:2023年7月18日


深草小学校のそばにある空き地を活用して地域交流の場づくりをされている『tetoteto』さん。コロナによって子どもたちが町から姿を消し、外出が制限されるなか、場の必要性を感じ、「お金はないけど、場所と企画案と何よりも私たちがやりたい!」と手探りでスタートされてからの1年半について、代表の樋口紫綾さんと企画担当のおさとうざらめさんにお話をお聞きしました。



スーパーでの再会から夢をカタチに


Q. 団体について教えていただけますか。

「遊びを通した学び」と「繋がる。広がる。」をテーマに、広場を開放し、深草地域の親子を対象にした地域交流の場づくりに取り組んでいます。毎回テーマを決めて実施をしており、子どもたちが身体を動かしながらできることやクイズ形式で考えながら行うものづくり、自然に触れるワークショップ、ゲストの方によるイベントなどを行なっています。他にも、地元商店街のイベントと同じ日に、「おやこマルシェ」を開催し、企画を考えた子どもたち自身が店長になり出店しました。

参加者の子どもやお母さんの持ち込み企画を行うこともあります。子どもたちのやりたい想いを尊重しながら、子どもやお母さん・お父さんにとってのチャレンジの場として、未完成だからできる余白を大事に取り組んでいます。


Q.コロナ禍での活動スタートだったと思います。なにか活動のきっかけがあったのでしょうか。

樋口:子どもたちが遊べる場所が、新型コロナウイルスの影響で少なくなったため、つくろうと思いました。新型コロナウイルスが流行するまでは、普通に子どもと遊ぶことができていたため、場所をつくるなどの発想にはなりませんでした。しかし、新型コロナウイルスが流行したことにより、遊ぶことや出かけることが難しくなり、子どもたちの姿を町で見かけなくなりました。そういったことから、「ないなら自分でつくろう」という私の想いにスイッチが入ったことが活動を始めたきっかけです。

ただ、このときはまだ「何をするか」は何もなく、あるのはタイミングよく空き地になったスペースでした。場所はあるけれど、何をするかで悩んでいたときに再会したのが、ママ友のざらめさんでした。

ざらめ:再会したのは、近所のスーパーでした。当時は新型コロナウイルスの影響で人と交流する機会がなく、「最近何してるの?」という話題で盛り上がれるくらいには、人と話せていませんでした。そのとき、樋口さんの想いや活動できる場所があることをお聞きし、とてもワクワクしたことを今も覚えています。

私自身、子どもを対象にした仕事をしていた経験があり、子どもたちとやりたいことをたくさん持っていました。ただ、ずっと寝かしており、このまま実施することができないまま夢で終わるのかなと思っていました。そのため、樋口さんのお話は、まさに夢のようなお誘いでした。

樋口:この活動が生まれたのは、ある意味で新型コロナウイルスのおかげなのかなと思います。ざらめさんとの再会に背中を押されて、場所と企画案があるなら、とりあえずやってみようとなり、『tetoteto』がスタートしました。

(毎月開催されている「深草tetoteto広場」の様子)



#地域で子育て


Q.いろいろなことに取り組まれていますが、参加している子どもたちが企画を持ち込まれるようになったのには何かきっかけがあったのでしょうか。

今の子どもたちは、さまざまな理由で遊びを制限されています。私たちがしていることは、今の子どもたちに自由に遊べる場所を用意しているだけです。

さまざまな企画を実施していますが、そのなかで、子どもたちは自由な発想で遊びを生み出し、それぞれが楽しんでいます。最初はメンバーが遊びを企画していましたが、次第に来ている子どもたちが自ら遊びを企画するようになり、子どもが子どもに遊びを提供する姿が生まれるようになりました。

自分の「やりたい」や「役割」が見つかること、それらを「体験」することが良い方向に作用しており、それが参加者が参画するきっかけになっています。

もう1つ大きな要因としては、子どもたちは100円を払い参加していることだと思います。「無料だから行こう」という気持ちと、「100円払ってでも行こう」という気持ちの違いは、参加へのモチベーションに影響します。そのため、子どもたちは「今日は行こう」、「今日は興味のあるテーマじゃないから行かない」と明確です。参加へのモチベーションが、子どもたちの参画につながっています。


Q.Instagramの投稿には「#地域で子育て」というハッシュタグを初期から付けられていますが、「地域で子育てをする」ということが、子どもたちにとってどのような意味や価値があると感じておられますか。

活動の原点である子育てを通して感じたことは、「自分でできることは限られている」ということでした。子どもに伝えられることは、私が経験したことだけだと感じたときに、周りの魅力的な大人が子どもたちに関わることで伝えられることが増え、人生の幅も広がると思いました。

子どもたち自身がやりたいことを見つけて、もっと知りたいと興味関心を持つためには、たくさんの人に出会うことが必要です。そういう関係性が地域にあると良いなという想いもあり、「繋がる。広がる。」のテーマのもと地域で子どもを育てることを目指しています。

(子どもスタッフによるワークショップの様子)



目指すのは家でも学校でもない“第3の居場所”


Q.今は多くの場所で子育て世代を対象とした居場所が開催されていますが、場をつくるうえで大事だと感じておられることなどありますか。

ざらめ:継続することです。失敗したとしても、続けることが大事で、挑戦し続けることが場をつくるうえで大事だと思っています。

『tetoteto』としては、活動のテーマでもある「遊びを通した学び。遊びは学びの土台になる。」という考えを大事にしています。この考えを、親御さんにも伝え意識してもらうことで、広場に来てもらえれば私たちも一緒に育てていくことができます。そのような意味でも、対象を限定するのではなく、多様な世代の子どもたちが参加できることは大事だと思っています。

樋口:子育てをしていても感じましたが、子どもたちの縦割りの関係はとても大事です。年上の子が年下の子の面倒をみる、年下の子は年上の子の姿を真似することで学びを得る関係があります。そして、それは私たちの想像を超える子どもたちの成長のきっかけになっています。私たちは、本能的に学び合う関係性が築かれる場を提供しており、安全な場所を提供することが大事なことだと思います。

私自身は、独りよがりな活動になっていないかの振り返りを行っています。大前提として、自分が楽しめていることは大事ですが、参加してくださっている皆さんにとってはどうなのかを問い続ける必要があると思いますし、場をつくるうえでも大事だと思っています。


Q. 今後の展望について教えてください。

ざらめ:今後は、子どもたちが主体となり運営や企画をする場になっていけばと思っています。私自身としては、ずっとやりたいと思っていたことができたときの感動は今でも忘れることができません。

私だけではなく、「みんなの夢が叶う場」として活用されたらいいなと思っています。そのために場を整えたり、手助けをしたいと考えています。

樋口:今の広場にはトイレなどの活動を継続していくための設備がしっかりとありません。継続していくためにも、建物を建てたいという夢はあります。1階はオープンスペースで人が集い、2階は学生マンションのようなスペースになっており、広場に集まる人たちと関わることができる地域の拠点をつくりたいです。

広場の活動は、この夢を見据えた活動をしていきたいと思っています。今は、私たちが子育て世代なので、そこに視点を置いて活動をしていますが、今後は多様な人や世代が集まれる広場にしていきたいです。


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・tetoteto Instagram

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