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執筆者の写真伏見いきいき市民活動センター

【For Localプロジェクト】特定非営利活動法人 キャリアコンサルタントネットワーク京都

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キャリアコンサルタントネットワーク京都の阪本さんにお話しを伺ってきました。「気軽に、いつでもだれでも必要な時に相談できる」この考えを社会に浸透させ、転職希望者をはじめ実社会での対応に悩んでいる人たちが、一人で抱え込まなくてもいい社会を目指している団体です。

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Qキャリアコンサルタントネットワーク京都(以下:CCNK)さんは社会に役立つ人材開発援助を行っていると伺いましたが、団体としてどのような想いを持ち、活動されていますか。

私達CCNKは、主に転職等に悩んでいる人が「気軽にいつでもだれでも必要な時に相談できる」ことが、あたりまえのようにできる社会を目指して活動しています。

団体としての想いは、2つあります。

1つ目は、「困ったときは人に頼っても良いんだ」「自分では抱えきれない悩み・困りごとは友人や家族、ときにはプロ(カウンセラー、キャリアコンサルタント等)に相談して良いんだ」という考えをいかに社会に醸成していくのかを組織として考えています。日本人は、小さいころから、親御さんを始め小学校などで、「自分のことは自分で考えなさい」「自分のことは自分で解決しなさい」と言われることが多いように感じています。これは、逆に言うと「人に頼るな」ということを徹底されています。私達はここが社会的な課題だと考えて、「気軽にいつでもだれでも必要な時に相談できる」文化を醸成しようと活動しています。

2つ目は、「自己研鑽・相互研鑽」ですね。キャリアコンサルタントというのは人様の相談に乗るので、常にカウンセリングに関する各種学習を怠らずスキルアップをしていかないといけません。そのため、セミナーへの参加や関連本を読むなど常にスキルアップを行っています。また、自己研鑽で得たスキルでセミナーを実施することにより、キャリアコンサルタント同士の相互研鑽を行っています。また、キャリアコンサルタント以外の方にも広報を行い、1つ目の想いを醸成するためのセミナーも実施しています。


          (発達障碍者への就労支援セミナーの様子)


Q.団体を立ち上げてもうすぐ16年目ということですが、最初はどういった思いで団体を立ち上げたのでしょうか。

最初に集まったメンバーには、50代でリストラされているという共通点があります。50代なので、子どもの養育費などもあり安定した収入が必要でした。会社にもリストラした理由があると思いますが、リストラというのはその人の生活を寸断するということになります。その時に私たちは、どうすることもできなかった無力感、無念感などのマイナスな感情を味わいました。リストラをされてつらい状況でしたが、そのようなことは軽々しく口に出せず、自分の中でいろいろ溜まってきました。大変なときに相談できる人が居たらどれだけ良かったかと思いました。


そんなことを体感した私たちが何かできたらなということで、キャリアコンサルティングをみんなで勉強しはじめました。勉強をしている時にNPOにしてしっかりと取り組もうということになり団体を立ち上げました。自分たちの苦しみや実体験が団体を立ち上げた原点となっています。

Q.「相談できる社会」を目指すために、普段からどのような活動をされているか教えていただけますか。また、新型コロナウィルスの影響はありましたか。

活動内容は2つあります。

1つ目はセミナーの企画、運営、実施です。これは年に数回実施しています。このセミナーはコンサルタントが多様な悩みを理解したり、知識を付けるためのものです。他にも、悩みを抱える当事者が参加することもあります。今までは会場で行っていましたが、今は新型コロナウィルスの関係でZoom(web会議ツール)を使い開催しています。

どのような方が来られるか、どのような課題を抱えていらっしゃる方が来られるのか、私たちは分かりません。発達障害の方かもしれませんし、ジェンダー問題で悩まれている方かもしれません。

そのような課題を抱える人たちに対する知識や理解がとても大事です。そのためのセミナーを開催しています。

セミナーのテーマを決める際は、色々議論して決めていますが、基本はタイムリーな話題が多いですね。最近は発達障害を抱える方の理解や就労支援についてゲストをお呼びしてセミナーを数回行っています。

2つ目は、個別相談(キャリアコンサルティング)を行っています。個別相談は、1回あたり50分となっており、相談者を理解するための面談をします。相談者がどのような相談内容を抱えており、その背景には何があるのか、どのようになりたいのか、などを把握するための1回目です。2回目以降から、相談者が目指す目標のために情報を提供したり、課題を一緒に共有しながら解決策を探っていきます。

新型コロナウィルスの影響でZoomでの個別相談も行っています。これは初めての試みですが、いい相談環境を提供するという考えのもと試行錯誤を続けています。


             (個別面談での面接対策の様子)


Q.色んな悩みを抱える方がいると思うのですが、特にどういった困りごと・悩み事を抱える方に相談に来てほしいですか。

特に、今の仕事を辞めようか考えている方に相談に来てもらいたいです。誰でも一度は、今働いているところが自分に向いているのか考える時があると思います。悩まれている方は、自分がこの仕事に向いている実感が欲しいのではないでしょうか。しかし、何をもって「向いてる」、「向いていない」というのでしょうか。そう思うときには、「自分はこれができないから向いていない」のような先入観、思い込み、決めつけがあります。


ひとりで考えていると自分の基準で向いていないと考え、それならば辞めようと短絡的な考えになってしまいます。そのため、今の仕事を辞めようか考えている方に特に来ていただきたいです。実際、辞める前の方がよく相談に来られます。

Q.相談に来られた方に退職や転職を勧めたり、反対に辞めることを踏みとどまらせるなどコンサルタントから方向性を持って働きかけることはあるのでしょうか。

よく勘違いされている方がいるのですが、辞める前の方が来られるからと言って、こちらから退職や転職、踏みとどまらせることを勧めることは基本的にありません。カウンセリングの原則として、答えはその人の中にあると言われています。本人が気付いていないか、あるいは少し気付いているが、確証を得たいのか、誰かに聞いてもらいたいのか、誰かに背中を押してほしいのか、色々あります。しかし、自分の中に何かしらの答えはあります。

それらを踏まえて、キャリアコンサルタントはAよりもBが良いとは言いません。それは、相談者が決めていくことだからです。迷っているときは、立ち止まることが多く決断ができないかもしれません。しかし、その人は遅かれ早かれ何かを決断しなければなりません。選択をするのは、自分しかいないことに気付いてもらう必要があります。そのためには時間がかかります。そこを私たちがサポートしながら伴走していきたいと考えています。

Q.寄付制度などは設けられていますか。また、設けていた場合どのように活用される予定でしょうか。

私たちはまだ寄付の経験がありません。ですので、私たちのHPなどを見ていただいて、趣旨に共感してくださる方がいらっしゃればメールで一度ご連絡いただいて、寄付していただけると嬉しいです。寄付の使い道はまだ、決まっていませんがいただいたお金なので、しっかり社会に還元できるように使いたいと思います。

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担当スタッフからのひとこと

1人1人悩みを抱える相談者に寄り添い、自分で決断できるようになるまでサポートを行い、「気軽に相談できる文化」を醸成するための一歩として、たくさんの人を巻き込んでセミナーを行ったり、自分たちの不条理から生まれた課題感を解決するために一つ一つ丁寧に行っている姿に、ただただ凄いと思うばかりでした。

コロナ禍のこんな今だからこそ、キャリアコンサルタントネットワーク京都さんの取り組みに脚光があたり、1人でも多くの人が相談することにハードルを感じなくなるそんな社会に1歩でも近づいて欲しいと思いました。

僕自身も何かあったら、周囲の人やプロに頼る、相談するという選択肢を持てるようになりたいです。

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