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執筆者の写真伏見いきいき市民活動センター

【For Localプロジェクト】特定非営利活動法人 ドネーションシップわかちあい

更新日:2020年8月21日

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新型コロナウイルス感染が続く中で、自分達にできることは何かを考える手がかりとして、子育て支援についての情報発信や居場所づくりを中心にお母さん達を支えている団体や、海外で格差に苦しんでいる人々への支援を続けている団体等、伏見区内で積極的な活動を続けているNPO法人様を取材させて頂いております。

今回は、困ったときはお互い様の気持ちを会費や寄付や募金として集め、託していただいた思いを国内外のいのちの現場へ届けている“ドネーションシップわかちあい”という団体です。

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Q.法人名“ドネーションシップわかちあい”にはどんな意味が込められていますか?


ドネーションを直訳すれば寄付という意味です。

一人でできることは小さいけれど、みんなの気持ちを集めれば大きな力になるのではという思いでスタートしました。


実際に災害等が発生した時に、自分は災害ボランティア等、現地に駆け付けることはできないが、他に自分にできることがあったら協力したいという気持ちの方がたくさんおられると思います。その中のひとつの形として寄付や、募金に協力したいという方の気持ちをつなぎ、分かち合い、支えあうことを寄付(ドネーション)という形で現地に届けることはできないだろうか、実際に役立てて貰えたらいいなという思いで、活動を続けています。


組織を立ち上げた準備の中で、わかちあいの心を乗せた船 ドネーションシップ Donation shipに乗り、皆が気持ちをつないで、安心して飢えることなく生きていける新しい世界に一緒に行けたらいいね ということで名前を付けました。



(“ドネーションシップわかちあい”に込められた絵)


Q.HPによりますと、NPO活動が始まったのが2007年からとなっていますが、活動を始めたきっかけは何でしたか?


世の中がどんどん強いもの勝ちになっていく中で、皆が持っているわかちあい、支えあいの気持ちを繋げていけたらいいなと感じていました。ちょうどその頃、インターネットが一般にも浸透してきており、特にSNSのミクシィが広がり始め、知らない人だけれども、同じ気持ちの人と知り合えたり、繋がりができるということが新鮮でもあり、大きなきっかけになりました。


その力をポジティブに使っていけば、普段日常で出会う方だけでなく、まだ出会えていない方とでも皆が持っているわかちあいの気持ちや、困ったときはお互い様という気持ちの人と繋がっていけるし、素敵なことではないかと感じました。一人千円ずつであっても100人集まれば、大きく役立てていける可能性を見出し、活動を立ち上げました。


Q.活動はどのように広がっていったのでしょうか?


最初に共感する仲間と設立準備会を立ち上げて、家族や友人など目に見える方達に呼びかけていって100名位でスタートしました。同時にインターネットで活動内容を紹介したり、SNS等でも参加を呼びかけて来ました。東日本大震災の頃等、多少の会員増減があったものの、現在も会員は100名ほどです。私達のNPOは、寄付を含めて年会費を一口1万円とし、運営にかかる費用を除いて全てを寄付しています。(一口年間1万円は月833円、1日27.4円です。)会員100名で年間100万円の寄付(特に貨幣価値の違う途上国に対しても)ができることはとても大きなことだと思っています。今回も国内外でコロナ災禍により影響を受けている方々を支援している団体に対しても寄付を行いました。


大企業でもなく行政でもなく、何の後ろ盾もない庶民のグループが、これまで13年間で3千万円を超える寄付を積み重ねてこれたことは喜びでもあり、大きな意義があると考えています。


そして寄付を集めるだけでなく、会員に対してはHPやブログを通じて何処にどれくらい寄付を行ってきたか等活動報告も行い、寄付をした先からのお礼や、このように利用させていただきましたというメッセージも紹介し、現場の声をフィードバックするようにしています。これによって他にできることがあれば一緒に考えていこうというスタンスを大事にしています。


(わかちあい祭りの様子)


Q.初めに実施したドネーションは、どちらの団体、活動に対してのものでしたか?


2007年、会員さんからの紹介で知りましたが、フィリピンで貧しくお金もなく、病院に行けない人達の為に、妊産婦、医療支援活動を続けている富田江里子さん(助産師、看護師)の運営する無料診療所“セントバルナバ マタニティセンター”です。こちらとは現在も交流が続いています。

次に寄付した団体は、釜ヶ崎、西成地域で野宿生活を強いられた人たちを支援している“野宿者ネットワーク”代表 生田武志さんの活動に対してでした。リーマンショックの影響で、派遣切りによって職を失う人、野宿をする人が増えたことにより、年越し派遣村が開設される等、大きな社会問題が起きました。新聞テレビ等で報じられている状況を知り、自分たちも人ごとではない日本の中の貧困問題を考えたいと寄付を行いました。


Q.寄付の対象はどのように決めていますか?(決定機関、基準等)


NPO法人の理事会で構成する“寄付先選定委員会“が、発足時に定めている選定基準(ガイドライン)に基づいて選定します。

寄付先は災害、戦争、貧困、飢餓、病等、不公正により困難な状況にある人々、及びそうした人々の支援や自立をサポートするグループ、活動団体(国の内外を問わず)を対象にしています。また生命と生存にかかわることを優先し、緊急性、機動的に対応できるグループや団体であることを考慮し、人種、国籍、信条、宗教にも影響されない公平性を保持した上で、寄付先を選定しています。


寄付先の選定基準を明確にすることと共に、会員に対してはHP、ブログ、年2回発行の会報誌等に託された金額、わかちあいがどのように使われているのか実績を開示しています。透明性を大事にし、支援先に対する寄付実績や、支援先からのその後の報告によって、どのように役立ったか等を報告するのが法人としての責任だと思っています。


Q.“寄付先選定委員会”は年に何回ぐらい開催しますか?


2か月に1回運営会議を行っていますが、会員から寄付の提案がある場合、その運営会議で寄付先について調査、検討を行い、それを基に理事会 寄付先選定委員会に持ち上げ、最終的に寄付先と寄付額について決定しています。(年に1~2回)


(運営会議の様子)


Q.ここに寄付しようという提案は、どのように集まりますか?


会員がネット、新聞、テレビで知った社会情勢はもちろん、会員それぞれが気になっている福祉、教育、医療関連の各情報サイトや、フリージャーナリストが発信するブログや記事を見て、ここにはこんな問題があって、こんな活動をしている人や団体がいる等、会員掲示板に提案するケースが多いですね。

又、これまで50近く寄付を送らせていただいたグループや個人から届くニュースレター、メルマガの中で、新たにこんな問題が起きているという情報もあり、掲示板に上がることもありました。

例えば、これまで支援活動を続けてきたフィリピンの「ミンダナオ子ども図書館MCL」松居友さんから、ミンダナオ島で発生した大地震(2019年12月15日)に対しての緊急支援のお願いがあり、ブログで支援の呼びかけを紹介させてもらいました。


Q.今回のコロナ災禍で日本だけでなく世界中が打撃を受けましたが、ドネーションシップ様としてはどのような活動をしていますか?


会員さんからの提案をベースに、先月6月13日、寄付先選定委員会を開催し、以下の団体に寄付(わかちあい)を行いました。 

・つくろい東京ファンド

“市民の力でセーフティネットのほころびを修繕しよう”というテーマで2014年設立され、「住まいは基本的人権」として生活困窮者に対し支援活動を行っている法人ですが、緊急事態宣言の影響で、ネットカフェ等に泊まれなくなり困っている方、住まいを失った生活困窮者からの相談を受け付けたり、支援活動を行っています。

・NPO法人日越ともいき支援会

 東京港区の寺院に拠点を置くNPO法人で、日本で暮らすベトナム人のいのちと人権を守る活動を行っています。今回のコロナウイルスの影響で、仕事が減って収入が乏しく、生活に困っている留学生を支援したり、帰りたくても帰れない技能実習生を保護している他、全国にいる在日ベトナム人達へ食糧支援を続けています。

・RITA-コンゴ  

コンゴ共和国の紛争下における性暴力と、紛争資源取引によるグローバル経済とのつながりを検証し、

問題解決に向けた政府機関、企業、NGO、市民社会の意識を向上させることを通じて、コンゴの紛争解決、及び平和の実現に寄与するために設立されたNPOです。その中の事業の一つである援助活動として、産婦人科医、人権活動家であるデニ・ムクウェゲ医師が設立したパンジ病院が、今回のコロナ禍により深刻な医療物資不足で困っているという呼びかけを受けて寄付を行いました。

・NPO法人 抱僕(ほうぼく)

 北九州を拠点に1988年から生活困窮者や社会からの孤立状態にある人々に対し、炊き出しや就労支援、居住支援の他、相談にも応じる等、生活再建を支援しているNPOです。今回のコロナ禍による困窮対策として寄付募集をしています。窮地に追い込まれる人たちを傍観し、自己責任だと切り捨てない、住まいや仕事を失う人をひとりにしない社会、誰も取り残さない社会を共に生きたいと呼び掛けています。



Q.ドネーションシップわかちあい様の想いをお聞かせください。



この度のコロナ災禍に対して政府から一人10万円の定額給付金が支給されます。もし自分はコロナの影響を受けてないという方も給付金を受取って、そのうち一部でも今大変な人に分かちあってほしいと考えています。寄付することもその選択のひとつです。

マスクの着用や三密を避けるなど「新しい生活様式」が提唱され、誰もが今まで通りの生活スタイルを変えざるを得なくなっています。一斉休校の最中に近所の方が、これまで普通だったことがいかにありがたかったかと思うとしみじみ話されていました。コロナ禍での日常が、不安で殺伐としたものになるのではなく、人の優しさやあたたかさを感じられるものになってほしいし、そんな日常をつくっていきたいです。災害の時でもそうですが、いざ困った時に助けになるのは人のつながりです。


ドネーションシップわかちあいは、誰のなかにもある「困った時はお互い様」の気持ちをつないでいきます。ささやかな庶民の気持ちを寄付という形にしていのちや生存の現場に届けます。自分の気持ちがそうして誰かの役に立つのは嬉しいことですし、その思いをベースに皆さんとつながっていきたいです。

こうして活動を取材紹介いただいて感謝いたします。ありがとうございました。



特定非営利活動法人 ドネーションシップわかちあい 

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担当スタッフからのひとこと

日本赤十字社など募金団体への寄付をはじめ、最近はクラウドファンディングやふるさと納税等、支援方法も多様化していますが、一人でできることは小さいけれど、皆の気持ちを集めれば大きな力になるという庶民パワーを結集し、国内外を問わず寄付先を会員皆で決める。そして託されたわかちあいの実績を全て会報誌等に開示する他、支援先からのお礼のメッセージも公表する等、血の通った活動に誠実さを感じました。

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