京町通りに面し、「食」と「こと」をテーマに人やモノ、さまざまなできごとが集る食堂、Eat&Things。今回は店主の山内真樹子さん(通称:うっちーさん)にお話を伺ってきました。
料理×美術
料理への興味は小さいころからあったそうですが、実際に作り始めたのは大学に入ってから。卒業後は掛け持ちで飲食のバイトをし、そこで基礎を教えてもらったりしながら、ほぼ独学で学ばれました。山内さん自身がもとから卵焼きが好きだったことに加えて、アルバイトをしていた定食屋さんに教えてもらった出し巻きがとても思い出深くメニューにとり入れたそうです。
「もともとお店を開くということをはっきりとは決めていなかったのですが、『なにかしたい』と思っていました。自分がしているごはんと美術をつなげるような場所ができないかなと考えるようになりました。」
(一番おすすめの出し巻き定食。この他に日替わり定食やカレー、コーヒーあり。)
まちで感じていること
山内さんは出身の福岡県から大学進学のため、京都の左京区に住み始め、伏見区に住みだしたのは大学を卒業してから。それまで住んでいた場所と比べると伏見は”現実感”があるといいます。
「重い意味や悪い意味ではなくて、生活の場がきちんと根付いているところが好きです。特に京都は、まだ都会化し過ぎていないと言われますが、ちょっと『せかせか』した雰囲気もありますし、ころころ変わるようにも思います。人と人が交流しているまちというより、中心街は割と一人で過ごすという方のほうが多いようなまちに思います。だけど、このお店では、みんなで会話をすることが多くて、それがおもしろいと感じながら、働いています。」
取材中、多くの人が出入りし、知らない人同士のつながりが多く起こっていました。それも山内さんが独特の空気感で包むように接してくれるからでしょうか。
「自然体でいるようにしています。飲食業となるとお客さんとお店という関係になりがちだと思います。もちろんその関係もすごく大事だけれど、今だからこそ家族を迎え入れるように接したり、関係を築いていったりできたらとずっと思っています。」
(ほっこりするイラストはスタッフさんの手描き。店内でも会うことができます。)
日々とこれから
これからのことについてお話を伺いました。
「垣根なくいろんな人とごはんを食べる、食卓を共にするというのが夢です。最初は美術をやっている人とそうでない人の垣根をなくすようなイメージでしたが、今は国籍とか関係なくと、前より少し広い範囲で思っています。もっと様々な人と付き合っていけるような世の中になったらいいですね。」
お店には、20代半ば~40代くらいまでの同世代の人が多く、ものづくりに携わる人や興味があるという人が多く訪れるようです。そのような環境だからこそ感じることもあるようです。
「美術とかクラフトとか、お味噌とかどんなものでもいいから、ものをつくるということに興味・関心がある人や好きになる人を増やしたいです。今、生活の中で消費することがすごく増えてきていると感じています。やっぱり、消費者と供給する側、作り手が、消費する、消費されるだけで終わるのではなく、人間関係や暮らしが豊かになるようなもう少し、いい関係になってほしい。」
Eat&Things (イート アンド シングス)
営業時間:火 水 11:30〜14:30(ランチタイムのみ) 木 金 土 11:30~16:00、18:00~22:30
定休日:日、月
住所:伏見区京町10丁目17-1
TEL:075-748-8802
アクセス:近鉄電車 / 伏見駅から徒歩5分
京阪電車 / 丹波橋駅から徒歩7分