今回のUTTOCOな人は、まちづくりアドバイザーとして、伏見区深草を中心に活動されている、白水育世さんにインタビューをしました。
白水さんの仕事や取り組み、課題などについてお聞きした後、今後の展望などについてのお話も聴くことができました。
まちづくりアドバイザーって???
Q.まちづくりアドバイザーについて教えてください
まちづくりアドバイザーとは、京都市文化市民局地域自治推進室に所属する、民間から登用されたまちづくりの専門家のことです。
現在は、京都市各区に計14名のまちづくりアドバイザーがいて、持っている強みをそれぞれ活かしてまちづくりに携わっています。
業務については、地域における自主的なまちづくり活動の支援や,各区役所・支所におけるまちづくり事業全般に関する企画,運営への助言等を主な業務とします。
また、各区役所・支所で職員とともにまちづくりに関わる事業を推進するほか,地域の課題解決のため,地域に出向いていき個別相談に乗ったり、地域活動や市民活動の支援を行なっています。
※まちづくりアドバイザーについて、くわしくはこちら!(京都市HP)
Q.伏見区深草では、どのような活動があるのでしょうか
伏見区深草の活動として、例えば「鴨川運河会議」というものがあります。
鴨川運河とは、深草地域にある所謂「琵琶湖の疏水」のことを表しています。
この鴨川運河を再評価し、地域の資源としていく。それに向けて地域の区民が集い、語りあい、時には、まち歩きツアーなども行いながら、魅力や価値を発見・再認識していくという活動です。
白水さんから見た深草のこれから
Q.深草のまちづくりに必要だと感じていることはなんですか
『これからも住み続けたい』『安心して住める』と思えるまちにしていくために、今後必要になっていくサポートやサービスを創り出していくための仕組みが必要だと考えています。私の予想では、今は見えなくても4~5年後に地域課題が出てくると予想しています。
例えば、介護保険支援制度の基準が厳しくなるにつれて、買物支援やお出かけ支援などの普通に暮らす上で必要なサポートすら受けづらくなる人が出てくると考えられますので、地域の中で地域の人たち同士で支えあえる仕組みが必要になってきます。
また、地域にある商店が閉まることで地域経済の活力が下がる問題や、バスなどの公共交通が通らない高台の地域に住む方々が、身体が不自由になり、高齢になることで自家用車が使えなくなると''買物難民化”したり、引きこもりがちになる問題も出てくると考えられます。
こういった中で、人が集まりやすい場や機会を作ることで、多様な人々が上記のような地域課題に必要なサポートやサービスについて話し合い、対策をこうじていく必要性を感じています。
(深草のまちの空き家対策を考えるワークにて、京都市施策について解説される白水さん)
深草の面白い動き!
Q.深草で起きている面白い「まちづくり」の事例はありますか
「活きいきお出かけプロジェクト」というものがあります。
これは、身体の不自由等の理由から、引きこもりがちになっている方が外に出て散歩や買い物を楽しめるように付き添いサポートするというものです。
「健常者なら、気持ちさえあれば出かけられる、でも障害を持つ方々はお出かけしたくても、ヘルパーを1時間利用するだけでもお金がかかり、一歩足が踏み出しにくくなる。
それを地域のサポートでなんとかしよう!」
そういった思いからこのプロジェクトが始まりました。
―ある老夫婦のお話があります。
旦那さんが長期間入院されていて余命いくばくもないとされる旦那さんのいざという時のために、喪服を買いに行きたいという足の不自由な女性がいました。
この女性をサポートするために、ボランティアの人や社会福祉協議会の車イスの貸し出しの協力を得て、病院へ旦那さんのお見舞いに寄った後、大型スーパーへ買い物に出かけました。
喪服を探しにきた女性でしたが、久しぶりの買い物で他の商品も楽しそうに見ている姿は幸せそうで、イキイキされていました。
また
『深草100円商店街 竹とんぼでギネスに挑戦』 があります。
深草商店街では『深草100円商店街』というイベントを毎年実施しています。
10年目を迎える今年は、特別企画として深草地域の資源である竹を使って竹とんぼを作り、飛ばしてギネスに挑戦しよう!を企画しています。
放置竹林問題、小刀といった道具を使ったものづくり体験が『危険』を理由に不足がちな子どもたちの教育上の問題やものづくり体験を通じた親子・多世代間の交流を主な目標にしつつも、地域のみんなで一丸となって、ギネス更新を目指すことで地域や商店街の活性化も図ろうという狙いがあります。
今回は同時に京阪ジャズラインと連携して地域の音楽愛好家のみなさんを巻き込む形で音楽祭も立ち上げる予定です。
現在、商店街のみならず、地域の方々・大学生・アーティストや行政が連携して進めています。
イベントは11月23日の祝日に実施予定ですので、関心ある方はぜひ、運営や企画、竹とんぼ作りなどにご参加ください!
次のビジョン
白水さんが「これから大切だ」と考えている事はどんなことでしょうか?
私が考えていることは2つあります。
1つ目は、「熟達した知恵やノウハウの伝承・共有」です。
最近市民活動グループはどんどん増えてきて、なかには、活動暦10年以上のベテランのシニア層の方々がいます。
そういった方々は、知恵やノウハウ、人脈も豊富です。
こういった方々がさらに活躍される仕組み、即ち次の世代や新しく地域活動や市民活動に参加しようとされている方や団体へ知恵やノウハウを伝達したり、やりたいことや想いを実現できるようメンター役となり導いたり、相談に応じる仕組みが必要だと考えています。
2つ目は「まちづくりケース会議」です。
これは、ケースカンファレンスのようなものです。
ある患者を取り巻くソーシャルワーカーや医者などの各関係主体が集って、症例の検討やプランの作成をするように、地域のあるテーマについて様々な主体が集って、理解を深め連携・相談し合ったりする場を作ることが必要だと考えています。
支所の次年度事業紹介
住み続けたいまちづくりを目指すまちづくり事業「深草まるごとつながりネットワーク(通称、深まるねっと)」は、次年度も継続して活動を行います。
H27年度に参加者のみなさんで作成した『2030 Fukakusaマップ』を元に、H28年度は深草トレイルがある大岩山神社の再生・整備活動を行います。
4月からアクティブに動いていきますので、ご参加おまちしていまーす!
(取材日:2016年3月14日)