伏見でみつけたきらめく人たちを取材する「UTTOCOな人」も今回で10人目。普段は地域活動や地域活動を取り上げる事が多いですが、今回は地域の企業が集う中小企業家同友会 伏見支部の戸田さんに、地域と中小企業についてインタビューしてきました。
中小企業家同友会とは?
1957(昭和32)年、日本中小企業家同友会(現在の東京中小企業家同友会)が設立されて以来、こんにちでは全都道府県に約43,000名の会員を擁し、中小企業家同友会全国協議会を構成しています。
①よい会社をつくろう、②すぐれた経営者になろう、③経営環境を改善しよう、という3つの目的を全国共通の目的とされています。
京都中小企業家同友会は、1970(昭和45)年8月26日に18名の有志によって設立され、現在、京都府下全域で活動を展開し、約1500名の中小企業経営者が会員として参加して経営体験の交流などを通じて経営の改善と発展を目指して学びあっておられます。
[HPより抜粋]
同友会がいったいどんな会なのか、動画を公開されています
Q、戸田さんのこれまでの歩みを少しお話いただけますか?
京都生まれの京都育ちなんです。学生時代は理数科系の学部で学んでいました。先生の研究のお手伝いで企業の研究所に行く機会が多くありました。なぜかおもしろく感じられなかったんです。笑
性に合わないなぁ、と自分をみつめていくと「人に関心があるんだなぁ」と気づいたんです。その時は「企業に来ないか?」って言われたら、お願いしますって言うだけでほぼ行けるような時代だったんです。
そんな時代なのに研究所の誘いを断って、一般企業に行って営業をバリバリしたいと言ったんです。
就職担当の先生は反対しましたが ゼミの先生は後押ししてくれました。15年後に脱サラしてコンビニエンスストアをやり始めました。繁盛したんですよ。
暴走族との対話が開いた転機
Q、なるほど~、脱サラして飛び込んだ起業人生は順調だったんですね!
ところがね、最初は順調だったんですが、お客さんだけでなく、暴走族も来るようになってきたんです。店の駐車場が暴走族の集会場として明け方まで使われるようになってしまったんです。
警察を呼んでもその時は何とかしてくれても、毎日来るもんだから、これは自分で向き合うしかないなと思って。入店してカップラーメン等を倒していくんですよ。でも壊さないんです。器物損壊になるから、そういう事を彼らはしなかった。
そんな毎日で、彼らと口論したり話し合ったりしていたら、1人2人といつもの顔を見なくなっていくんです。
「○○君らどうしたんや?」って聞いたりコミュニケーションをとっていると、徐々にいろんな本音の話をしたりするような関係になったんです。
こんな関係が毎晩2年続きました。
Q、少しずつ関係性を築いていかれる中には壮絶なお話がたくさんあったんですね。。。
リーダーみたいな子があるとき、明け方まで暴れた後に、朝、土木作業の格好をしてまたお店に来たんですよ。
5時までは暴走族のリーダー、6時には家に帰って着替えて仕事に行くみたいです。その顔の変わり様、切り替える姿にとても驚きました。
「飯食うたんか?」と聞くと「食べてない」って言うから肉まん一個あげたんですよ。
「おっちゃんありがとう」言うた後にね、「おっちゃん、迷惑かけて悪いから、今日からここ走らさへん」って言ったんです。そこから本当に全く走らなくなったんです。
その時に人の話をとことん聞く、向き合う、受け入れる、相手の立場に立って聞くということが、どれだけ相手が心を開いて、行動を変えるかということを知ったんです。今の仕事の原点になったんですよ。
Q、「人との対話」という事と、今の仕事とどのようにつながっていますか?
今はビジネスコーチとして経営支援事業を仕事としていますが、「人に向き合う事」はすごく求められてるなぁって感じています。
経営者はこれまでの時代では「指示命令」でやって成果をあげてはこれましたがたけど、これだけ世の中の動きが激変して、先が見えない中では「指示命令」だけでは通用しなくなってきます。
社員の人たちの現場の話を聞いて共に一緒に考えて結果を出しにいこうっていうスタンスじゃないと、社員がついてこない時代になってきています。
「社長と従業員の思いをつないで成果を出していく」そんな役割でありたいと思います。
Q、そういうところでいくと、地域で闘う中小企業も、個人経営だって規模感は違っても一緒なんですよね。
人間関係を構築するということが、どれだけ大事かという事です。大きい小さいはありません。
多種多様な人がいて、その人たちと関係性を構築できるリーダーでないと相乗効果が発揮できないと思います。
それぞれ考えも違うし、正しい答えもない。答えをこちらが勝手にだしても相手には何も届かない。
「聞く」とか「相手の立場を考える」事は、もはやビジネスの世界に絶対はずせない事だと思っています。